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サービスサイエンスの目指すもの

生産性向上経済産業省がサービスサイエンスで「サービス産業の生産性向上を図る」というとき、聞く人間は「果たしてサービス産業の生産性とは何か」ということについて考えるでしょう。

サービスの生産性


これまで「生産性(productivity)」とは製造産業を中心にして追求されてきたものです。日本は戦後、低い生産性の状態から始まり、傾斜生産方式やトヨタ生産方式など、政策、個々の企業、現場などあらゆるレベルで生産性向上のための努力を重ねてきました。このような努力の結果、日本は世界でも有数の高生産性の産業構造を構築しました。

反面、サービス産業ではこのような生産性という考え方は必ずしも徹底されてきませんでした。

これはサービス産業の特性から限界があったという意味であり、生産性という考え方が比較的簡単に導入できる製造業と比較した場合です。サービス産業ではそれぞれ可能な限りの「生産性」が追及されてきたことは間違いありません。

しかし、現在サービスサイエンスが声高に叫ばれる背景には、科学技術の発展によってサービス産業がサービス生産性を向上させる産業技術(たとえばITなど)が出現し、従来サービス産業で行われてきた努力の方向性が大きく変わり始めている分岐点に立っているという認識ができるからです。


サービスの生産性への2つのアプローチ


経済産業省の生産性向上の見方は次のとおりです。まず、サービス産業の生産性向上のためには、2つの努力が必要だと示しています。

(1)効率性の追求
(2)顧客満足度向上やホスピタリティなどサービス品質向上

効率性の追求


一つは「効率性の追求」です。これは製造業で追及されてきた生産性向上のための取り組みや技術(ノウハウといったほうがいいかもしれない)の導入をいったものです。サービスサイエンスという語が示しているように、理工学的な工夫をサービス産業に大幅に導入しようとしています。これはサービスという特性を踏まえながらも、ある程度効率性を追求するという点では製造業と同じような努力ができるのではないかということです。従来、サービス産業は製造業との違いをあまりにも強く言い過ぎていたのではないかということもいえるでしょう。

また、「製造業のサービス化」がいわれるのと同時に「サービス業の製造業化」ということもいわれており、従来の「製造業」と「サービス業」という境界のあいまい化・ボーダレス化が進んでいるという対極的な変化が強く影響しているといえます。

品質の向上


二つめは、「顧客満足度の向上やホスピタリティを含めたサービス品質向上」です。いうまでもなく、サービスから得られる顧客満足度を向上させることでサービスの価値を高め、それを通じて効率性を向上させるというものです。

具体的には、付加価値向上・新規ビジネス創出のためにサービス提供者と消費者の間のコミュニケーションを促進するITの導入や「品質評価のための分野横断的ベンチマーキングの構築」など、サービス品質の計量化も大切でしょう。

生産性向上のためにはこれら2つのことを同時に進めなければいけないということです。そして、この2つの要素は生産性を表す式の分母と分子になるということです。

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