サービスサイエンスのはじまり
サービスを対象にした科学・工学である「サービスサイエンス」もしくは「SSME」が、新たな学問として生まれようとしています。
サービス、サービス産業はこれまでも私たちの生活、産業の中で大きな割合を占めていました。近年特に重要性が増したわけでもありません。では、なぜいまさら「サービスサイエンス」なのでしょうか。
先進国では産業構造の高度化、成熟化によって第一次産業(農林業等)、第二次産業(製造業等)に比べて第三次産業(サービス業等)の比重が高まっています。これは産業社会が成立して以来、一貫して起きてきた現象です。日本も例外ではなく、総務省統計局の資料によると、日本の1990年代のサービス業の付加価値ベース(生産額ベース)の増加率は米英と比較しても高いものです。
このように、サービス産業の重要化は産業構造の推移の中で、必然ともいえるのです。特に成熟社会への只中にある日本にとってサービス産業をどのように高度化・効率化していき、消費者が満足する高品位な社会を実現していくかは大きな課題となっています。しかし、これまでサービス産業では「勘」や「経験」が大切にされてきました。製造業と比較して、科学的な経営が行われてこなかったということができるでしょう。そのような傾向にいたった背景はいろいろと解釈できるでしょう。
そんな中、いち早くサービスサイエンスという言葉を用いてサービスの向上に取り組もうとしたのが米国のIBMでした。IBMは、知っての通り世界規模のコンピュータメーカーです。製造業であるIBMがサービスを強く意識するようになった背景には何があるのでしょうか。
1つは、製造の現場が人件費の安い国へ移っていること。「良いモノを作れば売れる」という時代は終わり、モノにはさらに高い付加価値が求められています。付加価値を付けるための重要な要素がサービスだといえます。
もう1つは、サービスの現場が同じように人件費の安い国へ移っていることです。例えば、今、コールセンターやカスタマーサポートの窓口をインドや中国などに置く企業が増えています。そのような中、サービスの質を確保するためには教育コストがかかります。
そこで、サービスを科学的に研究し、教育しようという試みが生まれたのです。それが研究教育対象としてのサービスサイエンスの誕生です。サービスサイエンスは、「サービスサイエンス、マネジメント、エンジニアリング」を略して「SSME」ともいわれます。
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